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汚れのケア

楽器は演奏すると松ヤニや手の汗や皮脂が附着します。放っておくと楽器にこびりついたり、弦の劣化を早める原因になります。楽器を弾いた後は奇麗にこれらを落としておくことが望ましいです。


用意するもの
・タオル、手ぬぐい、布巾などの布2枚
・幅10〜14mmくらいの平筆(ヴァイオリン、ヴィオラの場合)

布は汗拭き用と松ヤニ用です。工房ではホームセンターで売っている食器用布巾を使っています。タオル地なので吸湿性がよく楽器表面にも優しいです。用途に合わせて色分けしておくと便利です。筆は布の届かない所への「ハタキ」に使います。

松ヤニを落とす

演奏した後は弦や楽器についた松ヤニの粉を「払い」ます。
松ヤニ用の布で力を入れずに軽く楽器本体や弦についた松ヤニを「払い」ます。強くこすってはいけません。松ヤニが摩擦の熱で溶けて楽器表面にこびりつく原因になります。音を立ててこすってはダメです。

筆を使って駒、指板の下と上、f字孔の断面、テールピースの下、アゴあての下など布が入らない所の松ヤニを払います。



演奏するたびに払い落としても松ヤニを完全に、完璧に取り去るのは難しいです。長い間使っていると汚れが積もってきます。そんな場合は専門の技術者に楽器のクリーニングを依頼するのをお勧めします。
積もった汚れを取るにはクリーナーなどが必要です。市販のものもありますが、楽器のニスによっては適さないものもあるので使用には注意が必要です。初めての場合は専門の技術者に相談するのをお勧めします。


汗、皮脂の汚れを拭く

汗拭き用の布でネック、指板、弦、あご当て、本体に付着した汗を拭きます。

弦を指でずらし手汚れが目立ってきたら掃除します。特に指板は皮脂の汚れがたまりやすいです。目に見えて積もってきたら一度弦を外してお掃除しましょう。


キッチン用洗剤を水で10倍くらいに薄めます。これをティッシュペーパーやキッチンペーパー(エンボス加工のものがオススメ)に少し浸します。水が滴るほどに濡らしてはいけません。

楽器本体に洗剤がかからないようにします。ニスに付着して放っておくと変色をきたす場合があります。楽器本体に洗剤がついたらすぐに拭き取ります。



弦は一本ずつ外して掃除を行います。洗剤を浸したペーパーを折って弦の下を拭きます。洗剤が残らないように洗剤で濡れた部分は乾いたペーパーで奇麗に拭き取っておきます。
弦一本ぶん拭き終わったら、弦を張り戻して別の弦の下も同様に掃除します。

皮脂は水溶性なので洗剤などの界面活性剤に容易に溶けます。落ちない場合は松ヤニなどの非水溶性のよごれです。気になる場合は専門家に相談しましょう。


ケースの中のコンディション

中敷き、またはインナーバックを使う

ヴァイオリン、ヴィオラの場合、楽器ケースの中に弓をおさめると楽器本体の近くに位置します。ケース内に楽器を覆うシートやインナーバックなどがない場合は楽器移送中に弓についた松ヤニがケース内で飛散するので楽器にふりかかります。
楽器の上に載せる中敷きやインナーバックがない場合は薄い布などで楽器を巻いておくと良いです。

汚れケア用市販のアイテム

クリーニング用ソリューション

楽器クリーニング用のソリューションが市販されていますが使用する時には楽器と相性が合うか専門の技術者に相談されることをお勧めします。楽器によっては塗装してあるニスと相性が悪く表面を痛めてしまうことがあるからです。

ですので、このような質問を良く受けますが、すべての楽器に問題なく使えるかどうかは責任を持てないので当工房では楽器をみながら回答させて頂いています。

楽器拭き用クロス

吸湿性が良かったり、汚れ拭き取り効果の高い特殊な化学繊維やシリコンなどを含んだ楽器用クロスも市販されています。汚れを拭きとるという点で使いやすいですが、楽器表面を擦りすぎないようにしてください。強く擦りすぎるとニスを痛めることもあります(特に天然樹脂を使ったニスで塗装されている場合)。汚れが簡単に落ちない場合は専門の技術者に相談するのをお勧めします。

ページ最終更新日 : 2021-04-21

調整

楽器の調整、と呼ばれる類いの作業内容を紹介します。
現在準備中です。参考に出来る例が準備できたら掲載します。

駒の調整
魂柱の調整
指板の調整
ペグ、アジャスターの調節
ナット、サドル、テールピースの調整
ペグの軸、ペグ穴の調整
ネックの長さ、角度の調整
板の厚さ、バスバーの調整
チェロのエンドピン

修理

早急な対応が必要な場合の修理の例を紹介します。
現在準備中です。参考に出来る例が準備できたら掲載します。

接着の剥がれ
板のワレ、破損